投稿者: kahiya-star

  • MRがNDBオープンデータで外用薬市場を分析してみた|都道府県別処方動向とGE率から見える市場の実態

    はじめに

    こんにちは。かひやといいます。現役MR(医薬情報担当者)をしながら、データサイエンティストへの転職を目指して勉強中の筆者です。

    今回は、厚生労働省が公開しているNDBオープンデータ(第10回・FY2023)を使って、外用薬市場の都道府県別処方動向とジェネリック医薬品(GE)比率を分析してみました。

    「NDBって何?」という方もいると思うので、簡単に説明すると

    NDB(National Databaseとは、日本全国のレセプト情報(保険請求データ)をまとめた厚生労働省のデータベースです。そのうち一般に公開されている集計データが「NDBオープンデータ」で、誰でも無料でダウンロード・利用できます。

    MRとして日々医師や薬剤師と話していると、「この地域はこの薬が多い気がする」とか「GEへの切り替えが進んでいない印象」といった肌感覚を持つことがあります。今回はそれをデータで検証してみました。

    分析にはPythonとClaude Codeを活用しています。

    分析内容

    データ:NDBオープンデータ 第10回(FY2021〜FY2023の3年分)

    対象:外用薬

    分析軸:都道府県別の処方数推移・後発品比率(GE率)

    ①都道府県別 処方数ヒートマップ

    処方数を都道府県別に見ると、大阪府がトップ(2023年度:368万件)で、愛知県・東京都が続きます。

    内服薬では東京が1位になることが多いのですが、外用薬では大阪がトップというのは興味深い結果です。

    全県で処方数は増加傾向にあり、外用薬市場全体が拡大していることがわかります。アトピー性皮膚炎治療薬の新薬上市が相次いでいることも背景にあると考えられます。

    MR視点の考察

    処方数の多い上位県(大阪・愛知・東京・埼玉・兵庫)は、単純に人口規模と比例している部分が大きいです。一方で、人口規模の割に処方数が多い県・少ない県を見ると、地域の医療機関の密度や皮膚科専門医の分布が影響していると考えられます。

    ②都道府県別 GE率ヒートマップ

    こちらが今回の分析で一番面白かった結果です。

    外用薬のGE率は全国的に低いという印象を持っていましたが、データでも確認されました。

    2021年度 | 2022年度 | 2023年度

    最高(沖縄県) | 41.9% | 45.5% | 46.7% |

    最低(高知県) | 24.0% | 27.1% | 28.4% |

    東京都 | 30.2% | 31.7% | 31.1% |

    大阪府 | 31.9% | 33.2% | 33.5% |

    最高の沖縄県でも46.7%、最低の高知県は28.4%と、約18ポイントの地域格差があります。

    注目:内服薬と外用薬でGE率のランキングが逆転する

    ここで面白い現象がありました。

    内服薬のGE率を見ると、高知県が全国1位(48.6%)でした。ところが外用薬になると、高知県が最下位(28.4%)に転落します。

    逆に内服薬でGE率が低かった都市部(東京・大阪・神奈川)は、外用薬でも同様に低い水準です。

    MR視点の考察

    なぜ外用薬はGE率が低いのか?

    いくつか理由が考えられます。

    まず、外用薬は剤形・基剤の違いが処方選択に直結するという特性があります。同じ有効成分でも、クリームかローションか軟膏かによって使用感が大きく異なり、患者満足度に影響します。先発品とGEで基剤が異なるケースもあり、医師が「先発品でないと困る」と判断するケースが内服薬より多いと考えられます。

    次に、GEへの切り替えが患者から見えやすいという点があります。内服薬は錠剤の見た目が変わる程度ですが、外用薬は「いつもと違うチューブが来た」と患者が気づきやすく、違和感を訴えるケースも現場では見られます。

    高知県の逆転現象については、地域の薬局や医師のGE推進方針・意識の違いが、薬効群によって異なる可能性があります。内服薬は積極的にGEを選択しているが、外用薬については先発品への信頼が根強い、という傾向が高知では特に顕著なのかもしれません。

    まとめ

    今回の分析で見えてきたこと:

    1. 外用薬の処方数は全県で増加傾向——市場全体が拡大している

    2. 外用薬のGE率は内服薬より全体的に低い——剤形・基剤へのこだわりが背景にある可能性

    3. 内服薬と外用薬でGE率のランキングが大きく逆転する県がある——薬効群によってGE推進の浸透度が異なる

    NDBは約2年のラグがあるため最新情報ではありませんが、市場全体の構造的な傾向を把握するには十分活用できるデータです。

    今後やりたいこと

    – 外用薬の薬効群別(ステロイド系・非ステロイド系・新薬など)の詳細分析

    – モイゼルトなど新薬上市前後の処方動向の変化

    – 機械学習を使った処方数の予測モデル構築

    次回の記事もお楽しみに!

    分析に使用したコード・データはGitHubで公開予定です。

    データ出典:厚生労働省「第10回NDBオープンデータ」(令和5年度)

  • 初投稿

    こんばんは。

    かひやといいます。

    データサイエンスに触れてその魅力にZOKKONです。

    データサイエンティストの卵が様々なテーマを調査・分析します。